イ長調　４分の４拍子　アレグレット　

この作品は《夢》という組曲の第３曲としてアルベニスがロンドンに住んでいた１８９０年に作曲されました。
私は、ピアノ曲としてこの作品を聴いたことは無かったのですが、ヨーロッパでは色々な楽器の為に編曲され、 その楽譜が売られ、愛奏されています。
ヴァイオリン、チェロ、クラリネット、サクソフォンがそれぞれピアノとのデュオ作品として、 またサクソフォン4重奏にも編曲されています。
これらの編曲は残念ながら、国内版では発売されていないようです。 オリジナルソロ曲は全音楽譜のアルベニス「ピアノ小品集」に収めましたのでご購入頂ければ幸いです。

さて、組曲《夢》の作品は、1891年にそれぞれ１曲ずつ出版されましたが、 １９０２年に出版者が亡くなった後に、息子の代になり、既に出版されている他の作品と併せて《１０曲のコレクション》として出版されました。
62小節にまとめられ、音の数もあまり多くなく、譜読みしやすい楽曲です。

とてもロマンティックでありながら、情熱的で美しく魅力的な作品ですので、 ぜひ弾いて頂きたいと思います。

♪〜〜〜〜〜〜

さて、楽譜を見て行きましょう。

冒頭に「アパッショナート（情熱的に）」と指示されています。 裏拍で奏される左手の伴奏は若々しい高揚感があり、メロディは歌いだしから情熱的です。
下降形で始まるこのメロディは、５つの８分音符にcresc＜　と dim＞　を付けて、 accele アッチェレ気味に弾くと情熱的になります。
4小節目のテヌートがついているrit の辺りはアラルガンドな雰囲気です。 大きく伸び伸びと弾くと良いでしょう。
６〜８小節目は８分音符をひとつひとつ丁寧に歌い込んでいきましょう。
10から15小節目、また16から21小節目までは、とても切なく心が揺れて行くように弾き、 特に１２〜１３、１８〜２１小節は、呼吸を1小節単位にして、揺れ動くように歌っていきましょう。
２２〜２３は優しい心で落ち着いて弾きましょう。
24からの左手に現れるのは、とても甘い歌です。
28からテンポプリモですが、３１でリタルダンドをかけた後、細かく転調するフレーズを フォルテッシモで、少し前のめりに情熱的に表現しましょう。

後半は46小節目からアジタートで、４８の最後でリタルダンドして 49小節から甘い歌を大きく情熱的に歌います。
最後は消えるように弱くなっていきます。　
最初のテーマ8分音符５つが、ここでは4分音符１つと8分音符4個に変わっていますが 最後まで心に残る甘いささやきのように弾けたら素敵です。

以上、とても素敵な曲ですので、ぜひ、レパートリーに加えて下さいね。

スペイン音楽セミナーへ戻る。　　プロフィール　　スペインピアノ作品解説書はこちら

		プロフィール
		ラテンピアノとは・・・
		ディスコグラフィー
		活動情報
		ビブリオテカ
		CD評 （アルベニス作品集１）
		ＣＤ評（アルベニス作品集　２）
		スペイン音楽セミナー　（曲目解説現在2１曲）Ｎｅｗ！「セビーリャの聖体祭」更新！
		Sound　(カワイの楽譜全曲試聴できます）
		スペイン国際音楽コンクールのお知らせ
		皆様からのメッセージ・評
		Fotos
		レッスン
		掲示板