イサーク・アルベニス(Isaac Albeniz)作曲 〈プレガリア〉 T.86D　変ホ長調　4分の4拍子　アンダンテ　 演奏時間約５分３０秒 こちらで試聴できます。

この作品はこちらのCDに収録されています。 アルベニス没後１００年企画 レコード芸術特薦盤 「アルベニス作品集第4集」 楽譜は全音楽譜「アルベニス小品集」に収められています。

この作品は12曲から成る《性格的小品集》T.86の第４曲です。この曲集の第１２番には有名な〈朱色の塔〉が収められています。
今まで無名に近かった作品ですが、私が採り上げて以来、人気殺到の作品で、とうとう邦版の楽譜発売にまで盛り上がりを見せています。

作曲されたのは1888年ころで、1886年4月に彼の長女ブランカが、また1888年１月に二女クリスティーナが続いて亡くなり、祈り、祈祷を意味する〈プレガリア〉というタイトルが付けられているため、アルベニスは娘たちを思って作曲したのではないかと想像されます。（ただし献呈されたのは生徒さんでした）

冒頭の左手で始まるフレーズはグレゴリア聖歌のサルベ・レジナ（元后あわれみの母）のメロディに良く似ていて、アルベニスが讃美歌を意識して作曲したのだろうと想像できます。讃美歌のような静かな曲調のなかに、はっとする和声の変化が美しく、心が洗われるような作品です。 左手の伴奏は音域が広く使われているために、音色のコントロールが難しいですが、弱音で粒がそろうように注意して、ペダルを多く使い、静かで美しいハーモニーになるように演奏しましょう。 77小節目からのハーモニーの変化は、響きを愛でるように確かめて、一つずつ大切に弾いていきたいものです。

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下記ガイドブックと 併せてごらんください。
♪上原由記音著　濱田滋郎監修 「粋と情熱 Gracia y Pasio’n　 スペイン・ピアノ作品への招待」　 （株）ショパン　本体価格2400円（税込み2520円）

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