12.　さようなら［別れ］（L’adieu）

イ短調　４分の４拍子　Allegro molto agitato

4小節の序奏と後奏を持つ３部形式で書かれたドラマティックな作品です。

別れの辛さを嘆くような主部の、右手３連符のパッセージは指の独立と
敏捷性を高めるのにとても良い練習曲ですが、ただ機械的な運動で終わらないようにしましょう。

両手とも２拍目から始まるフレーズであることに注意して強弱を細やかにつけて演奏しましょう。

優しい慰めを感じさせる中間部も右手のデリケートなフレージングを大切に歌わせてください。

この曲のタイトルがベートーヴェン自身で標題をつけた「告別ソナタ」の第１楽章と同じで
あることには彼へのオマージュが感じられます。

（森直紀)